こんにちは。『行動競馬学』の管理人、「R」です。
週末のレース予想をしていると、出馬表の馬具欄に「B」というマークを見かけることがありますよね。あるいは、パドックで目の周りにカップのようなものをつけている馬を見たことがあるかもしれません。あの目隠しのような馬具こそがブリンカーです。
競馬を始めたばかりの頃は、ただの飾りのように思えるかもしれませんが、実はレースの行方を左右する重要なアイテムだったりします。あなたも、競馬のブリンカーの効果について、どんな意味があるのか、種類や効き目が続く期間はどうなっているのか、気になったことはありませんか。
また、馬券を買う立場としては、ブリンカーをつけることによるメリットやデメリットだけでなく、勝率や回収率にどう影響するのかが一番知りたいポイントですよね。一度つけたらずっと効果があるのか、それとも逆効果になってしまう馬もいるのかなど、関連する疑問は尽きないかと思います。
この記事では、競馬ファンなら知っておきたいブリンカーの基礎知識から、実際の馬券予想に直結するデータ傾向まで、じっくりと掘り下げていきます。最後まで読んでいただければ、出馬表の「B」マークを見る目が変わり、穴馬を見つけるための新たな武器が手に入るはずですよ。
- ブリンカーという馬具の基本的な意味や役割、種類について
- 馬のメンタルに作用するブリンカーのメリットとデメリットについて
- 装着馬の勝率や回収率など、馬券に直結するデータ傾向について
- 初装着や継続装着など、状況別の狙い目と危険なパターンの見極め方について
競馬のブリンカーがもたらす効果とは
まずは、ブリンカーという馬具そのものについての基礎知識を整理していきましょう。競馬新聞などでよく目にするとはいえ、具体的にどのような仕組みで馬の走りに影響を与えているのか、意外とふんわりとしか知らない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ブリンカーの意味や役割から、形状の種類、そして競馬のルールにおける扱いや実際のメリット・デメリットまで、順を追って詳しく解説していきますね。
ブリンカーの意味と役割
ブリンカー(Blinkers)は、日本の競馬用語では「遮眼革(しゃがんかく)」とも呼ばれる馬具のことです。
その名の通り、馬の目を遮るためのアイテムなのですが、完全に目隠しをしてしまうわけではありません。主にメンコ(馬の頭から耳まですっぽり被せる覆面)の目の部分に、合成ゴムやプラスチックなどで作られたカップを取り付け、馬の視界の一部を物理的に遮断するという仕組みになっています。
なぜわざわざ馬の視界を遮る必要があるのか。それを理解するためには、馬という動物の目の構造を知る必要があります。
馬の視野は驚くほど広い
実は、馬の目は顔の真横についているため、視野がおよそ350度もあると言われています。人間の視野が約200度前後であることを考えると、真後ろのわずかな死角を除いて、ほぼ全方位が見えている状態なんですよ。これは、自然界で草食動物として捕食者から逃れるために発達した能力です。
しかし、この「広すぎる視野」が、現代の競馬においては厄介な問題を引き起こすことがあります。
競馬場には、隣を走る他の馬はもちろん、カラフルな勝負服、ラチ(柵)の向こう側で応援する大勢の観客、風でなびく旗など、視覚的な刺激が溢れています。もともと臆病な性格の馬や、周りの状況に敏感すぎる馬は、これらの刺激に気を取られてしまい、レースに全く集中できなくなってしまうのです。
ブリンカーの最大の役割
広すぎる視野を意図的に制限し、余計な情報をシャットアウトすることで、馬の意識を前方の進行方向や「走ること」そのものに集中させること。
人間で例えるなら、勉強中に周りの景色やスマホが気になって仕方ないときに、図書館のパーテーション付きの個別デスクに座るような感覚に近いかもしれませんね。余計なものを見えなくすることで、目の前のタスク(=走ること)に向き合わせる。これがブリンカーの基本的な意味と役割です。
形状やカップの深さなどの種類

一口にブリンカーと言っても、実はその形状やカップの深さによっていくつかの種類が存在します。馬の性格や、どれくらい視界を制限したいかに応じて、陣営(調教師やスタッフ)が細かく調整を行っているんですよ。
フルカップとフレンチカップ
最も一般的な分け方が、カップの深さによる違いです。
・フルカップ(深めのカップ)
カップの部分が深く作られており、横や後ろの視界をガッツリと遮断するタイプです。かなり臆病で、少しでも他の馬が視界に入ると怯えて走るのをやめてしまうような、重度の気性難を抱える馬に使用されることが多いです。視界が前方に極端に限定されるため、集中させる効果は非常に高くなります。
・フレンチカップ(浅めのカップ)
フルカップに比べてカップが浅く、視界の制限がマイルドなタイプです。「完全に横を見えなくすると逆にパニックになってしまうけれど、少しだけ視野を狭めて集中させたい」というような、バランスを取りたい場合に使用されます。馬への精神的な負担を減らしつつ、効果を狙うための工夫ですね。
片側だけの装着(片ブリンカー)
馬によっては、「右側から馬に寄られると極端に嫌がる」とか、「左の景色ばかり気にして内にモタれてしまう(斜行してしまう)」といった、左右どちらか片方にだけ強い癖や弱点を持っているケースがあります。
そういった馬に対しては、メンコの右目だけ、あるいは左目だけにカップを取り付ける「片ブリンカー」という手法が取られることもあります。馬の個性に合わせたオーダーメイドの対策と言えますね。
他の馬具(チークピーシーズやシャドーロール)との違い
視界を制限する馬具としては、他にもいくつかの種類があります。
・チークピーシーズ:頭絡の頬紐にボア(フワフワした毛)を取り付け、主に真横から後ろの視界をふんわりと遮るものです。ブリンカーよりも制限が緩く、事前の装着届出も不要です。
・シャドーロール:鼻の上にボアを取り付け、下方の視界を遮ります。自分の影や足元の芝の切れ目などに驚く馬に対して、頭を下げさせて走る姿勢を矯正する効果があります。
それぞれ「どこを見えなくしたいか」で用途が使い分けられています。
装着に関するJRAのルール
ブリンカーは、馬の視界を物理的に遮るという強力な効果を持つ馬具であるため、JRA(日本中央競馬会)のレースにおいて使用する際には、厳密なルールが定められています。馬券を買う私たちも知っておいて損はないポイントですよ。
出馬投票時の事前届出義務
JRAの規定では、レースでブリンカーを装着させる場合、陣営は必ず出馬投票の段階で事前に届け出を行わなければなりません。出馬投票とは、レースに出走するための正式な申し込み手続きのことです。
なぜ事前申告が必要なのかというと、ブリンカーの装着は馬のパフォーマンス(つまりレース結果)に直結する可能性が高い「重要な変更事項」だからです。ファンに対して「この馬は今回、ブリンカーを着けて走りますよ」という情報をフェアに公開し、馬券予想の参考にしてもらうための措置ですね。競馬新聞などの出馬表で、馬名の横や馬具欄に「B」というマークがついているのは、この事前の届け出が行われている証拠です。
届出違反とペナルティ
ルールが厳密であるため、万が一の手違いがあった場合にはペナルティが存在します。
例えば、「事前の届け出をしたのに、当日うっかりブリンカーを着け忘れて出走してしまった」場合や、逆に「届け出をしていないのに、当日勝手に着けて出走してしまった」場合はどうなるでしょうか。
このようなケースは、JRAのルール違反(装鞍所における馬具の装着義務違反や道具忘れなど)とみなされ、管理する調教師に対して過怠金(罰金)などの制裁が課せられることになります。馬の視界をコントロールする道具だからこそ、公正な競馬を運営するために厳しく管理されているわけですね。
ちなみに、先ほど少し触れたチークピーシーズやシャドーロールといった馬具については、ブリンカーほどの劇的な視界制限がないとみなされているためか、事前の届け出義務はありません。当日パドックを見て初めて「あ、今日はチークを着けてるな」と気づくことも多いです。
レースへの集中力を高めるメリット
さて、ここからはブリンカーを使用することで得られる具体的なメリットについて深掘りしていきましょう。陣営がわざわざ届け出をしてまでブリンカーを着けるのには、もちろんそれに見合うだけのリターンを期待しているからです。
周囲の刺激をシャットアウトし、走りに専念させる
最も大きく、そして直接的なメリットは、レースに対する集中力の飛躍的な向上です。
先ほどもお話しした通り、馬は視野が広いため、横に他の馬が並びかけてきたり、後ろから蹄の音が聞こえてきたりすると、そちらに気を取られてしまいます。「なんか横にいる!」「後ろから来てる、怖い!」と気が散ってしまうと、前に進むための推進力がそがれ、本来持っているスピードやスタミナを発揮できずに終わってしまいます。
ブリンカーを装着し、視界を前方に限定してあげることで、馬は「横や後ろのよくわからない怖いもの」を見ずに済みます。その結果、「今はただ、目の前の道を全力で走ればいいんだ」と理解し、自分の走りに没頭できるようになるのです。
能力を出し切れていない馬の「カンフル剤」
体力的なポテンシャルや脚力は重賞級なのに、気性が子供っぽかったり、極端な怖がりだったりするせいで、レースになると全く走る気をなくしてしまう……。競馬界には、そういった「もったいない馬」が数多く存在します。
ブリンカーは、そうした馬たちにとって、眠っていた能力を強制的に引き出すカンフル剤のような役割を果たします。身体的な能力がアップするわけではありませんが、「精神的なブレーキ」を外すことで、100の能力を持っているのに普段30しか出せていなかった馬が、一気に90や100の力を発揮できるようになるわけです。
これが、ブリンカーが競馬において「一変(急激な成績向上)をもたらす魔法のアイテム」と呼ばれるゆえんですね。
逆効果になる馬や慣れのデメリット
メリットを聞くと「じゃあ、集中力のない馬は全部ブリンカーを着ければいいじゃないか」と思うかもしれません。しかし、生き物を扱う競馬において、万能の特効薬というものは存在しません。当然ながら、ブリンカーにも無視できないデメリットやリスクが潜んでいます。
「見えない恐怖」によるパニック
ブリンカー最大のデメリットは、馬によっては逆効果になってしまうケースがあることです。
人間でも、突然アイマスクを着けられて「さあ、全力で走れ!」と言われたら、周りが見えないことで逆に恐怖を感じて足がすくんでしまいますよね。馬も同じです。
もともと視野が広いことが安心感につながっている馬にとって、視界を急に奪われることは強烈なストレスになります。「見えないけれど、横から音がする!何かがいるかもしれない!」と、見えないことへの恐怖や不安が増幅してしまい、パニックに陥ってしまう馬も少なくありません。
こうなってしまうと、集中するどころか走る気そのものを完全に喪失し、レースの途中で走るのをやめてしまったり、暴れてしまったりします。ブリンカーが吉と出るか凶と出るかは、実際に着けて走らせてみないと陣営にも完全には読み切れない部分があるのです。
調教でのテストと実戦の違い
もちろん、陣営もいきなりぶっつけ本番でレースで着けるわけではありません。普段の調教(追い切り)でブリンカーを着けて走らせ、効果があるか、パニックにならないかを確認します。
しかし、静かな調教コースで走るのと、他の馬が密集し、歓声が轟く本番のレースとでは、馬にかかるプレッシャーが桁違いです。調教ではバッチリ効果があったのに、レースに行ったら全くダメだった……というのも、競馬の難しく、面白いところです。
効き目が続く期間と効果の薄れ
ブリンカーのもう一つの厄介な性質が、「効果は永遠には続かない」という点です。これも馬券を検討する上で非常に重要な要素になってきます。
「慣れ」が生み出す効果の減衰
ブリンカーの視界制限による集中力アップは、ある意味で馬に「適度な緊張感や、見えないことへのプレッシャー」を与え、前を向かせるショック療法のようなものです。しかし、馬も賢い生き物です。何度も同じ馬具を着けてレースに出走していると、次第にその視界が狭い状態に「慣れ」てしまいます。
「あ、またこの狭い視界か。でも別に怖いことは起きないしな」と馬が学習してしまうと、当初のピリッとした集中力が薄れ、結局また元のダラダラした走りや、気だるい態度に戻ってしまう傾向があるのです。これを競馬用語で「ブリンカー効果が切れた」「効き目が薄れた」と表現したりします。
効果のピークはいつまでか?
馬の性格や感受性によって大きく異なりますが、一般的にブリンカーの劇的な効果が見込めるのは、初めて装着したレース(初ブリンカー)から、継続して2〜3戦目くらいまでだと言われることが多いです。
それ以降も継続して着け続ける馬はたくさんいますが、それは「ブリンカーのおかげで能力の120%が出ている」というよりは、「ブリンカーを着けている状態がその馬にとってのスタンダードになった(着けないとマイナスになるから着け続けている)」と解釈した方が自然かもしれません。
魔法のアイテムも、使い続ければただの日常になってしまう。この「慣れ」の期間を見極めることが、ブリンカー馬の取捨選択において大きな鍵を握ってきます。
競馬でブリンカーの効果を馬券に活かす
さて、ブリンカーの基本的な知識と、馬にもたらすメリット・デメリットが理解できたところで、ここからは私たち競馬ファンにとって最も関心のあるテーマに入りましょう。そう、「馬券にどう活かすか」です。
出馬表の「B」マークは、単なる情報のひとつではありません。陣営の意図、馬の精神状態の変化、そして期待値の変動を示す重要なシグナルです。ここからは、「競馬 ブリンカー 勝率 回収率」といったデータ的な傾向を踏まえながら、馬券的な狙い目と危険なパターンを紐解いていきます。
装着馬の勝率と回収率の全体傾向
まず大前提として、「ブリンカーを着けている馬は、着けていない馬と比べてどれくらい馬券に絡むのか?」という全体的なデータ傾向を把握しておきましょう。
結論から言うと、ブリンカー装着馬全体の成績は、非装着馬と比較して以下のような特徴があります。
| 項目 | 傾向 | 理由と背景 |
|---|---|---|
| 勝率・連対率 | 全体的に低い | ブリンカーを必要とする時点で、何らかの気性難や弱点を抱えている馬である証明だから。 |
| 単勝回収率 | 全体的に高い | 勝率は低いものの、人気薄で激走した際の配当が跳ね上がりやすいため、回収率は底上げされる。 |
なぜ勝率が低く、回収率が高くなるのか
この「勝率ダウン、回収率アップ」という逆転現象のカラクリは、ブリンカーという馬具の性質そのものにあります。
そもそも、心身ともに健康で、レースにしっかり集中できて、自分の実力を100%発揮できる優等生のような馬は、わざわざブリンカーを着ける必要がありませんよね。つまり、出馬表で「B」マークがついている馬たちの多くは、前提として「気性が悪い」「集中力がない」「アテにならない」といったマイナス要素(=勝率を下げる要因)を抱えているグループなのです。
したがって、全体的な勝率や複勝率といった「馬券に絡む確率」を比較すると、優等生グループである非装着馬には劣ってしまいます。
しかし、馬券の面白さはここからです。そうしたアテにならない馬たちは、普段の成績が不安定なため、ファンからの信頼度が低く、オッズが甘く(人気薄に)なりがちです。そして、そんな人気のない馬が、ブリンカーの魔法によって突然真面目に走り出し、大穴を開ける……。こうした「激走」が定期的に発生するため、トータルで見ると回収率(投資に対してどれだけ戻ってきたか)の面では、非装着馬を上回る結果になりやすいのです。
ブリンカー装着馬は、安定感を求める軸馬(本命)としては少しリスクが高いかもしれませんが、高配当を狙うための穴馬・ヒモ穴としては非常に魅力的な存在だと言えますね。
初ブリンカーで一変する穴馬の激走

ブリンカーにまつわる馬券格言の中でも、最も有名で、かつ破壊力があるのが「初ブリンカーは黙って買え」という言葉です。初ブリンカーとは、文字通り「その馬のキャリアにおいて、初めてブリンカーを装着して出走するレース」のことを指します。
大駆け(一変)が発生するメカニズム
前走まで全く見せ場なく大敗を喫していた馬が、ブリンカーを初めて着けた途端に、別馬のように好位に付け、そのまま押し切って大穴を開ける。競馬を長く見ていると、そんな光景に何度も出くわします。これが「一変」です。
なぜ初ブリンカーでこのような劇的な変化が起きるのでしょうか。
それは、馬にとって「視界を制限される」という初めての経験が、強烈なショック療法として働くからです。先ほど解説した「見えない恐怖による適度な緊張感」が最も高まるのが、この初装着の瞬間なのです。「周りが見えなくて怖いから、とりあえず全力で前に走るしかない!」と馬が思い込み、結果的に眠っていたポテンシャルが100%引き出されるわけです。
馬券的な狙い目としての評価
データ的に見ても、初ブリンカーの馬は、全体的な勝率こそそこまで高くありませんが(やはり逆効果でパニックになるリスクもあるため)、ハマった時の配当妙味が非常に大きく、回収率の恩恵を最も受けやすいシチュエーションです。
初ブリンカーを狙うべき馬の条件
・前走まで二桁着順など大敗が続いているが、血統や過去の走りから素質は感じられる馬。
・レース中に「外に逃げる」「ジョッキーが促しても進んでいかない」など、明らかに気性面が原因で負けていると分かる馬。
・調教(追い切り)のタイムは抜群に良いのに、実戦に行くとサッパリな「稽古番長」タイプの馬。
こうした条件に当てはまる馬が人気を落として初ブリンカーで出走してきたら、少しの勇気を出して単勝やワイドなどを買ってみる価値は十分にあります。「ダメ元で一発狙い」のワクワク感を味わうなら、初ブリンカーは最高のスパイスになりますよ。
継続装着や再装着は回収率が高く狙い目
初ブリンカーの破壊力は魅力的ですが、「じゃあ、2回目以降のブリンカー馬はどうなんだ?」という疑問が湧いてきますよね。実は、馬券を長期的に組み立てる上で、より確実で美味しい「狙い目」となるのが、継続装着や再装着のパターンなのです。
継続装着(2戦目以降)の安定感
前走で初ブリンカーを着けて、今回も引き続き着けてきた馬(継続装着)。このパターンの馬は、データ上、初装着時よりも成績が安定し、かつ高い回収率を維持する傾向にあります。
考えてみれば当然のことです。陣営が「今回もブリンカーでいこう」と判断したということは、前走のレース内容やその後の馬の様子を見て、「この馬にはブリンカーが合っている」「効果があった(手応えがあった)」と確信しているからです。もし前走でパニックになって大暴れしていたら、今回は外してくるはずですからね。
つまり、継続装着の馬は「逆効果になるリスク」がすでに前走でふるい落とされており、純粋に「集中力アップの恩恵」を受けられる可能性が高い状態にあると言えます。効果の薄れ(慣れ)が来る前の2戦目、3戦目あたりは、馬券的な信頼度と妙味のバランスが最も良い「買い時」ですよ。
再装着の穴パターン
もうひとつ見逃せないのが、再装着のパターンです。
過去に何度かブリンカーを着けていたものの、しばらく外してレースに出ていた馬が、今回久しぶりに再びブリンカーを着けてきた、というケースですね。
なぜ再装着するのか?陣営の意図を読む
一度ブリンカーを外した理由は、「効果に慣れてしまったから、一度外してリセットしたかった」「成長して気性が大人になったと思ったから外してみた」などが考えられます。
しかし、外して何戦か走らせた結果、やはり成績が振るわず「やっぱりこの馬にはカンフル剤が必要だ」と陣営が判断し、再び投入してきたのが再装着です。
この再装着も、初ブリンカーと同様に「馬に対する新鮮なショック療法」として再び強く作用することがあります。過去の好走実績がある馬が、近走不振で人気を落としたタイミングでの再装着は、忘れた頃にやってくる大駆けのサインとして、回収率が非常に高くなる傾向にあります。出馬表の過去走をチェックして「B」マークの有無を追うのは、少し手間ですが有効なテクニックです。
ブリンカーを外した馬と新馬戦の注意点
さて、ここまでは「狙えるパターン」をお伝えしてきましたが、逆に「手を出さない方が無難な危険パターン」もしっかりと把握しておきましょう。馬券で勝つためには、買うべき馬を探すのと同じくらい、買ってはいけない馬(消し推奨の馬)を見切ることが重要だからです。
ブリンカーを外した時のリスク(消し推奨)
前走までブリンカーを着けていた馬が、今回「外して」出走してきた場合(Bマークが消えた場合)。結論から言うと、このパターンは馬券対象としては非常に危険であり、基本的には「消し(買わない)」を推奨します。
なぜ外してきたのでしょうか?ポジティブな理由(気性が成長して不要になったなど)もゼロではありませんが、多くの場合は以下のネガティブな理由によるものです。
- 着けてみたけど全く効果がなかった、あるいは逆効果だったから諦めた。
- 最初は効いていたが、完全に慣れてしまって効果が薄れたから外した。
- 馬の調子自体が落ちており、馬具の工夫ウンヌンの状態ではない。
さらに恐ろしいのは、「外したことによる新たなパニック」のリスクです。
ブリンカーを着けた状態(狭い視界)にすっかり慣れきっていた馬が、突然それを外されて広い視界に戻されるとどうなるか。「今まで見えなかった横の景色が急に見える!なんだこれ怖い!」と、新たな恐怖心を生み出してしまい、レース中にパニックに陥る危険性が極めて高いのです。
成績のデータを見ても、ブリンカー外し直後のレースは勝率・回収率ともにガタ落ちする傾向が顕著です。陣営の「お手上げサイン」と受け取り、様子を見るのが賢明でしょう。
新馬戦からブリンカー装着馬の扱い
もう一つの危険パターンが、デビュー戦(新馬戦)からブリンカーを装着してくる馬です。
新馬戦は、どの馬もレースを経験したことがないフレッシュな状態です。通常であれば、まずは馬自身の素の能力や性格を測るために、素顔(あるいはメンコのみ)で出走させるのがセオリーです。
それにもかかわらず、初陣からいきなりブリンカーという強い矯正馬具が必要だということは、陣営が「調教の段階から、よほどの手におえない気性難や、致命的な集中力の欠如を抱えている」と白状しているようなものです。
新馬戦のブリンカー馬は「地雷」の可能性大
もちろん、稀にそのままアッサリ勝ってしまう能力の高い馬もいますが、データ全体で見ると新馬戦からの装着馬の成績は非常に低調です。
パドックで暴れて体力を消耗したり、レースに行っても全く真面目に走らなかったりするリスクが高すぎるため、馬券の軸にするのは極めて危険です。「まずは無事に回ってきてくれれば……」という陣営の祈りに近い状態だと思って、手を出さないのが無難かなと思います。
競馬でブリンカーの効果を見極めるコツ

いかがでしたでしょうか。ここまで、競馬におけるブリンカーの効果、そのメリット・デメリット、そして馬券的な視点での扱い方について、多角的に解説してきました。
ブリンカーは単なる目隠しではなく、馬の心理状態をコントロールし、パフォーマンスを劇的に変化させる可能性を秘めた「諸刃の剣」です。
最後に、馬券を検討する上でブリンカーの効果を見極めるためのコツを、もう一度おさらいしておきましょう。
- 出馬表の「B」マークの履歴をチェックする
今回が「初」なのか、「継続」なのか、それとも「再装着」や「外し」なのか。この履歴の推移こそが、陣営の意図と馬の状態を読み解く最大のヒントになります。 - 前走の敗因を自分なりに分析する
初ブリンカーの馬を狙うなら、「なぜ前走は負けたのか」を考えてみましょう。体力負けではなく、「気性や集中力の欠如」が敗因である可能性が高い馬ほど、一変の期待値が高まります。 - パドックでの様子を観察する(余裕があれば)
ブリンカーを着けているからといって、パドックで極端にチャカチャカと暴れすぎている馬や、逆に全く活気がない馬は、効果が悪い方に出ている(あるいは見えない恐怖に怯えている)可能性があります。
競馬に絶対はありません。「初ブリンカーだから必ず走る」わけでも、「ブリンカーを外したから必ず飛ぶ」わけでもありません。今回ご紹介したデータ傾向や理論は、あくまで予想を組み立てる上での「強力な補助線」として活用してください。
【ご注意事項】
本記事で紹介した勝率や回収率などの傾向、および馬具の効果に関する解釈は、過去の一般的なデータや傾向に基づく目安であり、今後のレース結果や利益を保証するものではありません。
実際の馬具の装着ルールや最新の規定など、正確な情報については必ずJRAの公式サイトや公式発表をご確認ください。また、馬券の購入はご自身の無理のない範囲で楽しみ、最終的な判断は自己責任で行っていただくようお願いいたします。
出馬表の小さな「B」マークの裏側には、馬と人間(陣営)のさまざまな思惑やドラマが隠されています。そのドラマを読み解くツールとして、この記事の知識があなたの競馬ライフや予想のスパイスになれば、私としてもこれ以上嬉しいことはありません。
それでは、今週末も素晴らしい競馬の時間があなたに訪れますように!『行動競馬学』管理人の「R」でした。
