競馬のオッズの決まり方を完全解説!計算式や変動理由とは

こんにちは。『行動競馬学』の管理人、Rです。

競馬のオッズの決まり方について、具体的にどうやって計算されているのか疑問に思ったことはありませんか。

馬券を買うときにオッズがいつ確定するのか、どの時間に見るのが正しいのか、気になりますよね。

また、締め切り直前になってオッズが急に下がる現象や、単勝と複勝の計算の違い、さらにはJRAと地方競馬でのオッズの動き方の違いなど、知っておきたいことはたくさんあるかと思います。

競馬のオッズは、ただ主催者が適当に数字をつけているわけではなく、そこにはしっかりとしたルールと参加者の思惑が絡み合ったメカニズムが存在しています。

この記事では、そんな競馬のオッズが形成される裏側の仕組みを、初心者の方にもわかりやすく、じっくりと解説していきます。

オッズの決まり方を知ることで、これからの競馬の見方が少し変わるかもしれませんよ。

  • 日本の競馬で採用されている独自のオッズ計算システム
  • 馬券の種類によって異なる手数料と払戻の割合
  • 締め切り直前にオッズが急激に変動する本当の理由
  • 地方競馬特有のオッズ変動リスクと注意点
目次

競馬のオッズの決まり方の基本と仕組み

まずは、オッズがどのようにして計算され、表示されているのか、その土台となる基本ルールについて見ていきましょう。ここを知っておくだけで、オッズ画面を見る解像度がグッと上がりますよ。

パリミュチュエル方式の構造

日本の競馬におけるオッズの決まり方を語る上で、絶対に避けて通れないのが「パリミュチュエル方式(Pari-mutuel betting)」という仕組みです。

なんだか難しそうな名前ですが、基本の考え方はとてもシンプルなので安心してくださいね。

日本の公営競技を支える大黒柱

パリミュチュエル方式というのは、フランス語で「相互の賭け」を意味する言葉です。日本のJRA(中央競馬)はもちろん、地方競馬、競艇、競輪、オートレースなど、すべての公営競技でこの方式が採用されています。

簡単に言うと、「みんなでお金を出し合って大きなプールを作り、そこから主催者の取り分(手数料)を引いた残りを、予想を当てた人たちで山分けする」というシステムです。

つまり、私たちが買っている馬券のお金は、JRAと直接勝負しているわけではなく、実は他の競馬ファンとのお金の奪い合いをしている、ということになるんです。

海外で主流のブックメーカー方式との決定的な違い

【豆知識:ブックメーカー方式とは?】

ヨーロッパの競馬やスポーツの賭け事でよく使われる方式です。こちらは胴元(ブックメーカー)が独自にオッズを決め、お客さんはそのオッズに納得したら賭けます。買った瞬間にオッズが固定されるのが最大の特徴です。

パリミュチュエル方式とブックメーカー方式の大きな違いは、「誰がリスクを負っているか」です。

ブックメーカー方式では、胴元がオッズの設定を見誤って大穴をたくさん当てられてしまうと、胴元が自腹を切って配当を支払うため赤字になります。

一方で、日本のパリミュチュエル方式は、ファンから集めたお金の総額から、あらかじめ決まった手数料を引いて、残ったお金を配分するだけです。ですから、誰が勝とうがどれだけの大穴がこようが、JRAが赤字になることは絶対にありません。

主催者が絶対に損をしない仕組み

この「主催者が絶対に損をしない」という構造があるからこそ、オッズはJRAの都合で操作されるものではなく、純粋にファンのお金の集まり具合(需給バランス)だけで決まることになります。

オッズは特定の誰かが決めているのではなく、参加しているすべての人たちの投票結果がリアルタイムで反映された「市場価格」のようなものだと考えてみてください。

支持率と払戻率による計算式

では、そのプールされたお金がどのように計算されて私たちが目にする「オッズ」になるのでしょうか。ここでは、基本的な計算式について解説します。

オッズは人気ではなく資金の偏りで決まる

よく「オッズが低い=強い馬」と思われがちですが、システム的に言うと少し違います。

正確には、「オッズが低い馬=たくさんのお金が賭けられていて、山分けする口数が多いから、1口あたりの配当が少なくなっている馬」なんです。

競馬のオッズは、買った人の「人数」ではなく、賭けられた「金額」で決まります。ですから、1万人が100円ずつ買った馬(合計100万円)と、1人の大富豪が100万円ドカンと買った馬は、オッズの上では全く同じ扱いになります。

誰でもできる簡単なオッズ概算式

オッズを大まかに知るための基本的な計算式は、実は中学生の算数レベルで理解できるんですよ。

【基本的なオッズの概算式】

支持率(%) = (その馬の売上金額 ÷ その馬券全体の売上金額) × 100
オッズ = 払戻率 ÷ 支持率

例えば、単勝馬券の全体の売上が1,000万円だったとしましょう。そのうち、1番の馬の単勝に200万円のお金が集まっていたとします。

この場合、1番の馬の支持率は「200万円 ÷ 1,000万円 = 20%(0.2)」になります。
単勝の払戻率(ファンに還元される割合)は80%(0.8)なので、先ほどの式に当てはめると……。

0.8 ÷ 0.2 = 4.0倍

これがオッズになります。支持率が高くなればなるほど分母が大きくなるのでオッズは下がり、支持率が低ければ分母が小さくなってオッズが跳ね上がる、という反比例の関係になっています。

JRA内部で動いている公式アルゴリズム

先ほどの計算式はあくまでわかりやすい概算です。実際のJRAのコンピューター(トータリゼータシステム)の中では、同着やキャリーオーバーなど複雑なケースにも対応できるよう、法律に基づいたもっと厳密な計算が行われています。

公式のアルゴリズムをざっくり説明すると、「まずは当てた人の元本を確保してあげて、外れた人たちのお金を当てた頭数で均等に割り、そこに払戻率をかけて最終的な分配金を出す」という流れになっています。

ちょっとややこしいかもしれませんが、「外れた人のお金を、当てた人で山分けしている」という本質は全く同じですよ。

馬券種ごとの控除率と払戻率

さて、先ほどの計算式でしれっと「払戻率」という言葉を出しましたが、実は馬券の種類(単勝や3連単など)によって、この割合は違っているんです。

控除率(手数料)という見えない壁

馬券の売上からJRAが差し引く手数料のことを「控除率」と呼びます。そして、売上から控除率を引いてファンに還元される割合が「払戻率」です。

(売上100% - 控除率 = 払戻率)

この控除率は、競馬を長期的に楽しむ上で非常に重要な概念になります。毎回手数料を取られているわけですから、適当に買っていると資金はどんどん目減りしていく仕組みになっています。

当てやすい馬券ほど還元率が高い理由

現在のJRAでは、当てやすい馬券ほど払戻率が高く(手数料が安く)、当てにくい馬券ほど払戻率が低く(手数料が高く)設定されています。

これは、夢のような高配当が期待できる3連単などには少し高い手数料をかけても売れるだろう、という主催者側のバランス調整かなと思います。

各馬券種の控除率一覧

具体的な数字を見てみましょう。スマートフォンの場合は、表を横にスクロールして見てくださいね。

馬券の種類設定払戻率控除率(手数料)
単勝80.0%20.0%
複勝80.0%20.0%
枠連77.5%22.5%
馬連77.5%22.5%
ワイド77.5%22.5%
馬単75.0%25.0%
3連複75.0%25.0%
3連単72.5%27.5%
WIN570.0%30.0%

単勝や複勝は20%の手数料で済みますが、3連単になると27.5%も引かれてしまいます。

プロの馬券師と呼ばれるような人たちが、単勝や複勝といったシンプルな馬券を好む傾向にあるのは、この「手数料の安さ(還元率の高さ)」が数学的に有利だと知っているからなんですね。

【注意】
JRAプレミアムなどのキャンペーン期間中は、指定された馬券の払戻率が一時的に上乗せされることがあります。また、これらの設定値は変更される可能性があるため、正確な情報はJRAの公式サイトをご確認ください。

複勝オッズに幅がある理由

競馬を始めて少し経つと、必ずと言っていいほど直面する疑問があります。それは、「なんで単勝や馬連のオッズは『3.2倍』みたいに一つなのに、複勝やワイドは『1.5〜2.1倍』みたいに幅があるの?」ということではないでしょうか。

他の馬の結果に依存する特殊な馬券

複勝(3着以内に入る馬を当てる馬券)やワイド(3着以内に入る2頭の組み合わせを当てる馬券)には、1つのレースの中に「正解(的中)」が複数存在します。

先ほどの山分けのルールのところで、「外れた人のお金を、当てた人で山分けする」とお伝えしましたよね。
複勝の場合、あなたが買った馬が3着以内に入って見事的中したとしても、一緒に3着以内に入った残り2頭がどの馬になるかによって、オッズが大きく変わってしまうんです。

人気馬と同居した場合(下限オッズの形成)

例えば、あなたが中穴くらいの馬の複勝を買って当たったとします。
しかし、他の1着、2着が、みんなが買っている「圧倒的1番人気」と「2番人気」だった場合を想像してみてください。

人気馬には大量のお金が賭けられています。その大量のお金が「的中馬券」の方に回ってしまうため、没収される「ハズレ馬券」の総額が少なくなってしまいます。
少ないハズレ馬券をみんなで山分けするので、あなたに配られるお金も少なくなり、結果としてオッズは低い方(下限)に落ち着きます。

穴馬と同居した場合(上限オッズの形成)

逆に、あなたが買った馬と一緒に、誰も買っていないような「大穴馬2頭」が3着以内に入った場合はどうでしょう。

大穴馬には少ししかお金が賭けられていませんから、それ以外の人気馬に賭けられていた莫大なお金が、すべて「ハズレ馬券」として没収されます。
この膨大に膨れ上がったハズレ資金を、少数の的中者で山分けできるため、配当金は一気に増え、オッズは高い方(上限)に跳ね上がります。

このように、複勝やワイドの確定オッズは「一緒に来る馬次第」という他力本願な要素があるため、レースが終わるまでは計算できず、あらかじめ「最悪のケース(下限)」と「最高のケース(上限)」の幅を見せてくれているわけです。

三連単で高配当が出る仕組み

競馬のニュースで「100万馬券が出た!」と話題になるのは、ほとんどが3連単(1着、2着、3着を順番通りに当てる馬券)ですよね。平均配当が約12万円とも言われるこの馬券、なぜここまでオッズが高くなるのでしょうか。

組み合わせ数の暴力が生むマジック

3連単の控除率が27.5%と一番高いから高配当になる……わけではありません。最大の理由は、ズバリ「組み合わせの数が多すぎるから」です。

18頭立てのレースの場合、3連単の組み合わせはなんと4,896通りもあります。
これだけ数があると、どんなにG1レースで何十億円というお金が売れたとしても、一つ一つの組み合わせに入るお金(支持率)は極限まで薄まってしまうんです。

資金が極限まで分散することの意味

例えば、ある大穴絡みの3連単の組み合わせに対して、全体の売上のうちたった0.05%しかお金が入っていなかったとしましょう。
これをオッズ計算式(払戻率72.5% ÷ 支持率0.0005)に当てはめると、オッズはなんと1,450倍(14万5,000円)になります。

3連単は、一番人気の組み合わせであっても支持率が数%しかないのが普通です。そのため、少しでも予想が難しい荒れたレースになると、資金が広範囲にバラけすぎてしまいます。

夢の100万馬券が現実になるロジック

荒れた決着になった場合、その組み合わせの馬券を持っている人はほんのひと握りになります。
つまり、「何百万人という外れた人たちの莫大なお金を、たった数人で独り占めできる」からこそ、数百万円という異常な配当が生まれるわけです。

これもパリミュチュエル方式が生み出した、資金の偏りによる純粋な計算結果なんですよ。

競馬のオッズの決まり方における変動要因

ここまでは基本的な計算式についてお話ししてきましたが、オッズは生き物のように常に動き続けています。ここからは、実践的な知識として「なぜオッズが動くのか」「イレギュラーが起きたらどうなるのか」について深掘りしていきましょう。

締め切り直前にオッズが下がる理由

朝からお昼過ぎまでずっと「10倍」くらいあった美味しいオッズの馬が、馬券の購入を締め切る1分前になった途端、一気に「5倍」まで暴落してしまった……なんて経験はありませんか?

「裏情報でも漏れたんじゃないか?」と疑いたくなる気持ちもわかりますが、これには極めて合理的な理由があります。

日常茶飯事となった直前のオッズ急落

現代の競馬では、締め切り直前のオッズ急落は日常茶飯事です。
この現象の正体は、独自のデータ分析やAI(人工知能)を使って勝率を計算している「プロの馬券師チーム」や「投資シジケート」と呼ばれる集団による、意図的な大口投票であることがほとんどです。

プロの投資家やAIシジケートの存在

彼らは、過去の膨大なデータから自前のコンピューターモデルを作り、「この馬の本当の勝率は何%か」を弾き出しています。
そして、自分たちが計算した「適正オッズ」よりも、実際のJRAのオッズの方が高い(つまり、美味しい)と判断した瞬間に、システムを使って機械的に数百万円、数千万円という大金を投じます。

大金が入れば、その馬の支持率が一気に上がるため、オッズは急落し、彼らが想定した「適正価格」まで一瞬で下がってしまうというわけです。

なぜギリギリまで買わないのか

「じゃあ、なんでそんなギリギリまで買わないの?早く買えばいいのに」と思いますよね。それには2つの理由があります。

1つ目は、「情報を極限まで集めるため」です。
馬の当日の体重変化や、パドックでの様子、馬場状態の移り変わりなど、直前にならないとわからない情報をAIの計算にギリギリまで組み込みたいからです。

2つ目は、「他の人に真似されないため」です。
もしレースの30分前に大金を入れたら、オッズが急落して目立ちますよね。それを見た一般のファンが「何かある!」と思って同じ馬を買ってしまうと、さらにオッズが下がって彼らの儲けが減ってしまいます。
だから、他の人が気づいて買い足す暇を与えない「締め切り数十秒前」を狙って資金を撃ち込んでいるんです。

直前にオッズが下がるのは、「プロが美味しいと判断して適正価格に修正したサイン」と言えるかもしれませんね。

確定オッズが反映されるタイミング

オッズは私たちが馬券を買う前も、買った後も、常に動き続けています。では、最終的な払い戻しに使われる「確定オッズ」はいつ決まるのでしょうか。

買った時のオッズはあくまで暫定値

よく誤解されがちなのですが、あなたがスマートフォンや自動発券機で馬券を買った瞬間に画面に表示されていたオッズは、あくまでその時点での「暫定値」に過ぎません。

払い戻しの計算に使われるのは、すべての馬券の販売が完全に終了し、システムが全国の売り上げを集計し終えた後の「確定オッズ」だけです。
ブックメーカー方式と違い、買った後でも他の誰かが大金を入れたら自分のオッズも下がってしまうのがパリミュチュエル方式の宿命です。

システム集計による避けられないタイムラグ

JRAの場合、インターネット投票などは「発走時刻の1分前」に締め切られます。
しかし、全国から集まる何百万件という投票データを巨大なコンピューターで集計し、最終的なオッズとして確定させるまでには、どうしても数十秒のタイムラグが生じます。

先ほどお話ししたように、締め切り直前にAIなどによる大口投票が殺到するため、ファンが見ているモニターに最終的なオッズが反映されるのは、馬がゲートを出てレースが始まった後になることも珍しくありません。

正確な期待値を追うための確認タイミング

「じゃあ、いつオッズを見るのが一番正確なの?」という話になりますが、これはシンプルに「発売締め切り時刻に極力近いタイミング」です。
売り上げが大きくなってくるとオッズは動きにくくなりますので、締め切りの5〜10分前くらいになれば、ある程度の精度のオッズは把握できるかなと思います。

とはいえ、最終的なオッズは神のみぞ知る部分もありますので、ある程度の変動は許容する余裕を持っておくことが大切ですね。

地方競馬と中央競馬の変動の違い

競馬ファンの中には、「地方競馬のオッズはすぐに変わるから信用できない」と言う人がいます。計算式は同じはずなのに、なぜ中央競馬(JRA)と地方競馬でオッズの動き方がこんなに違うのでしょうか。

プール規模(流動性)の圧倒的な差

結論から言うと、これは「売上金(プールされているお金)の規模が全く違うから」です。
専門用語で「流動性の違い」なんて言ったりします。

JRAのG1レースであれば、1レースだけで数百億円というお金が集まります。数百億円のプールの中に、誰かがポンと100万円を入れたとしても、全体の割合から見ればほんの微々たるものなので、オッズはピクリともしません。

しかし、平日の地方競馬の一般戦などでは、単勝の売上全部を合わせても数百万円〜数千万円程度しかないことがよくあります。
全体で1,000万円しかないプールの中に、1人の人が100万円を特定の馬に入れたらどうなるでしょうか。
それだけで全体の10%ものお金が動くことになり、オッズは一瞬で暴落してしまいます。

地方競馬のオッズがコロコロ変わるのは、少ない資金でも簡単にオッズ(支持率)を歪めることができてしまうからなんですね。

地方競馬で頻発する1.0倍の恐怖

売上規模が小さい地方競馬では、もう一つ厄介な現象がよく起こります。それが「オッズ1.0倍(元返し)」です。

圧倒的に強い馬がいるレースで、その馬にばかりお金が集中してしまうと、手数料(控除率)を引いた後の分配金よりも、賭けられたお金の元本の方が大きくなってしまうことがあります。
計算上は「0.9倍」になってしまうのですが、日本の法律では原則として払い戻しが元本を下回ることは禁止されているため、特例として「1.0倍」になります。

地方競馬ではこの1.0倍が本当によく出現するので、「当たったのに一銭も増えない」という虚無感を味わうリスクが常にあります。

多点買いで陥りやすい「トリガミ」リスク

さらに地方競馬で気をつけたいのが「トリガミ(ガミる)」です。
これは、「馬券は当たったけれど、配当金が馬券を買った総額よりも少なくて、結果的にマイナスになってしまうこと」を指します。

例えば、3連単を60通り(6,000円分)買って見事当たったとしても、本命同士のガチガチの決着で配当が30倍(3,000円)しかなかったら、3,000円の赤字ですよね。
地方競馬は売上が少ない分、本命サイドのオッズが極端に低くなりやすいため、手を広げすぎると簡単にこの「トリガミ」の罠にハマってしまいます。資金配分には十分注意してくださいね。

同着や除外が発生した際の計算方法

競馬は生き物が走るスポーツですから、時には思いがけないアクシデントが起こります。ゴール前で鼻ヅラを並べて全く同時にゴールしたり、発走直前に怪我で走れなくなったり。
そんな時、私たちの馬券やオッズはどうなるのでしょうか。

まさかの同着!その時オッズはどうなる?

写真判定の結果、複数頭が「同着」になった場合、オッズはレース前に発表されていた最終オッズから大きく下がってしまうことがほとんどです。

なぜかというと、JRAが事前に表示しているオッズは、「勝つ馬(正解)は1頭だけ」という前提で計算されたものだからです。

的中枠が増えることで起こる配当崩壊

もし1着が同着になった場合、単勝の当たりは「1通り」から「2通り」に増えますよね。
当たりが増えるということは、外れた人たちから没収したお金(ハズレ資金)を山分けする人数も増えることになります。

限られたハズレ資金を、想定よりも多くの口数で分け合うことになるため、一人あたりの取り分は激減します。
当たりが増えて嬉しい反面、配当は事前の表示オッズの半分近くにまで強烈に押し下げられてしまうことが多いんです。
ひどい時には、ほぼ元返しの1.0倍付近まで落ち込むこともありますので、同着は馬券を買っている側からするとあまり嬉しいものではないのが本音です。

【補足】
3着同着の場合、複勝の的中枠が3つから4つに増えるため、こちらも配当が下がります。ただし、同着となった馬同士の組み合わせ(ワイドなど)はハズレ扱いになるルールがあるので注意が必要です。

出走取消や除外による返還と再計算

馬券を買った後に、馬が怪我をしたり暴れたりしてレースに出られなくなった場合(出走取消や競走除外)、その馬が絡んでいる馬券はすべて「返還」となり、お金が全額戻ってきます。

この時、返還されたお金は全体の売上プールから完全に無かったものとして処理されます。
全体の金額が変わるため、当然オッズもゼロから計算し直しになります。
もし1番人気の馬が除外になったりすると、その馬に入っていた大量の資金がプールから消滅するため、残った馬たちのオッズがガラッと変わってしまうことになります。

※枠連に関しては「同じ枠に別の馬がいる場合」など、返還にならない特殊なルールがあるので少し注意が必要です。

特例制度であるJRAプラス10

先ほど、地方競馬のところで「計算上オッズが0.9倍になっても、法律で1.0倍(元返し)になる」とお話ししました。
せっかく当てたのに1円も増えないのはファンからするとツライですよね。そこでJRAが用意している救済制度について解説します。

ファンを救う10円上乗せ制度

JRA(中央競馬)では、ファンが少しでも楽しめるように、2008年から「JRAプラス10(プラス・テン)」という制度を導入しています。

これは、圧倒的な人気を集めて通常の計算だと「100円元返し(1.0倍)」になってしまう場合、主催者側が自腹で10円を上乗せして、「110円(1.1倍)」にして払い戻してくれるという、なんともありがたい仕組みです。

JRAプラス10が適用されない例外ケース

「それならJRAなら絶対に1.0倍にならないんだ!」と思いたいところですが、実は例外があります。
この制度には、数学的なリミッターが設定されているんです。

それは、「上乗せした金額の合計が、その馬券の売上総額を超えてはいけない」という厳しいルールです。
例えば、単勝の売上の98%が1頭の馬に集中するような異常な状態になったとします。この時、全員に10円を上乗せして110%にして払い戻すと、集めたお金の100%を突破してしまい、JRAが完全に赤字を被ることになります。

こうした「数学的にシステムが破綻するケース」に限り、JRAプラス10は発動せず、例外的に「1.0倍(100円元返し)」のまま確定してしまいます。
滅多にありませんが、単勝オッズ1.0倍の超大本命馬に数百万を賭けるような場合は、このリスクを頭の片隅に入れておく必要があります。

地方競馬における類似制度の現状

地方競馬の場合は、基本的にはこのプラス10制度はありません。そのため、容赦なく1.0倍が出現します。
ただし、大井競馬(TCK)の重賞競走など、一部の主催者が期間限定で「TCKプラス10」のような類似のキャンペーンを行っていることもあります。
自分が買おうとしているレースでそういった制度があるかどうかは、事前に確認しておくと良いかもしれません。

競馬のオッズの決まり方の総まとめ

さて、ここまで競馬のオッズの決まり方について、基礎からイレギュラーなケースまで詳しく解説してきました。いかがだったでしょうか。

オッズの裏側を知ることで広がる視野

オッズというのは、決してJRAが適当に決めた配当倍率でもなければ、単なる人気投票でもありません。
それは、参加している数百万人の競馬ファンの「お金(資本)」と「予測」が交錯し、手数料(控除率)という壁に削られながらも、最終的にパリミュチュエル方式という冷徹な数式によって弾き出された、極めて客観的な指標です。

オッズの決まり方を理解すると、オッズ画面がただの数字の羅列から、「今、世間の人たちがどこの馬にどれだけのお金をつぎ込んでいるか」を示すメーターに見えてくるはずです。

期待値という考え方の重要性

競馬を長く楽しむ上で、あるいは投資として捉える上で大切なのは、オッズを「馬の強さ」ではなく「資金の偏り」として見ることです。

世間の評価(オッズ)と、自分が考える馬の本当の実力(勝率)にズレがある時、そこに「期待値」が生まれます。
オッズの仕組みを知り、手数料の存在を意識し、直前の変動にも動じない知識を持つこと。それが、競馬という複雑なゲームに向き合うための第一歩になるのかなと思います。

最終的な判断とリスク管理について

【最後にお伝えしたいこと】

今回解説した払戻率やルール、数値データなどは、あくまで一般的な目安や現在の制度に基づくものです。制度やルールは変更される可能性があるため、正確な情報は必ずJRAや各地方競馬の公式サイトをご確認ください。
また、競馬は公営競技であり、ギャンブルです。オッズの仕組みを理解したからといって必勝法が存在するわけではありません。馬券の購入は無理のない範囲で、最終的な判断はご自身のリスクと責任において行っていただきますようお願いいたします。不安な場合は、ギャンブル依存症対策の専門機関等へのご相談もご検討ください。

オッズの裏側にある数理モデルや人々の心理を想像しながらレースを見ると、競馬はもっと奥深く、知的なエンターテインメントになります。
この記事が、あなたのこれからの競馬ライフのちょっとしたスパイスになれば嬉しいです。

それでは、良き競馬ライフを!

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