競馬の折り合いとは?意味と見方、予想の鍵を解説

競馬の予想をしていると、必ずと言っていいほど耳にする「折り合い」。しかし、競馬の折り合いとは何か、と改めて問われると、正確に説明するのは難しいかもしれません。レース中継で解説者が「競馬 折り合いを欠く」と指摘したり、競馬でかかる馬の見分け方に悩んだりすることも多いでしょう。

そもそも競馬で「かかる」とは具体的にどのような状態を指し、馬が競馬でハミを噛む様子とどう関係しているのでしょうか。さらに、騎手が競馬で折り合いを付ける技術的な側面や、競馬の折り合いと馬の気性、競馬で折り合いが悪い場合のレースへの深刻な影響など、知りたい点は尽きません。予想の精度を上げるためにも、パドックでの競馬の折り合いの見方も含め、この記事ではこれらの疑問について、基本から応用まで詳しく解説していきます。

この記事を読むことで、以下の点について理解を深めることができます。

  • 競馬における「折り合い」の正確な定義とその重要性
  • 「折り合いを欠く」や「かかる」状態の具体的な意味
  • パドックや返し馬で折り合いの状態を見極める方法
  • 折り合いがレース結果や競馬予想にどう影響するか
目次

競馬の折り合いとは?基本を解説

このセクションでは、「折り合い」という言葉の基本的な意味や、なぜそれが競馬において重要視されるのかを解説します。

  • 競馬の「折り合い」とは何を指すか
  • なぜ競馬で折り合いを付けるのか
  • 競馬で折り合いを欠く状態とは
  • 競馬で「かかる」とはどういう意味?
  • 競馬でハミを噛む行動との関係

競馬の「折り合い」とは何を指すか

競馬における「折り合い」とは、非常にシンプルに言えば、馬と騎手の「呼吸が合っている」状態を指します。

具体的には、騎手が出す指示(手綱を通じた合図)と、馬自身の走りたいという気持ち(闘争心や前進気勢)がうまく調和し、馬が不必要な力みなく、リラックスした状態でスムーズに走れていることです。JRA(日本中央競馬会)の競馬用語辞典でも、「騎手の制御(ハミ操作や手綱によるコンタクト)に馬が素直に従い、馬の走る気力と騎手の意図がスムーズに連動している状態」という趣旨で説明されています。

馬は本来、群れで走り、競争する本能を持つ動物です。そのため、ゲートが開いたり、他の馬が近くに来たりすると、本能的に速く走ろうとします。騎手の役割は、この馬の本能を抑え込むのではなく、うまくコントロールし、レース全体の流れ(ペース)に合わせて馬のエネルギーを最適に配分させることです。この人馬一体となった状態こそが「折り合いが付いている」状態であり、「折り合いを付ける」とは、その状態を作り出す騎手の技術そのものを指す場合もあります。

なぜ競馬で折り合いを付けるのか

競馬で折り合いを付ける最大の理由、それは馬が持つ能力(特にスタミナ)を最大限に引き出すためです。

レースは、ゴールまで体力を温存し、最後の勝負どころ(主に最後の直線)で残ったエネルギーを一気に爆発させる競技です。これは人間のマラソン選手が、序盤から全力疾走するのではなく、ペース配分を考えるのと全く同じ理屈です。

もしレースの序盤や中盤で折り合いを欠き、馬が全力で走りたがるのを騎手が無理に抑え込もうとすると、馬は騎手の指示に反抗し、無駄な力を使ってしまいます。この状態では、馬は本来持っているスタミナをレースの早い段階で大量に消費してしまいます。その結果、ゴールまでスタミナが持たず、最後の直線で脚が上がって(バテて)しまい、惨敗に繋がります。

特に、菊花賞(3000m)や天皇賞(春)(3200m)のような長距離レースでは、いかに道中でリラックスしてスタミナを温存できるかが、勝敗を分ける最も重要な鍵となります。短距離戦(例:1200m)であれば、多少折り合いを欠いてもスピードで押し切れることがありますが、距離が延びれば延びるほど、この「折り合い」の重要性は飛躍的に高まるのです。そのため、長距離戦の予想では、馬の能力だけでなく、騎手の「折り合いを付ける技術」も非常に重要なファクターとして注目されます。

競馬で折り合いを欠く状態とは

「折り合いを欠く」とは、その言葉通り、「折り合いが付いている」状態の全く反対を意味します。騎手と馬の意思疎通がうまくいっておらず、馬が騎手の制御に従わなくなっている状態です。

具体的には、馬がレースのペース以上に速く走りたがってしまい、騎手が手綱を引いてペースを落とそう(我慢させよう)としても、馬がそれに反抗してしまう状態を指します。このような状態になると、馬はしばしば頭を高く上げたり、頭を上下に激しく振ったりする動作を見せます。これは、騎手からの指示の伝達ルートであるハミ(口にくわえた馬具)からの圧力を嫌がっているサインです。

馬が頭を高く上げると、気道が圧迫されてスムーズな呼吸がしにくくなるという物理的なデメリットも生じます。当然、馬はリラックスして走ることができず、精神的にも興奮状態にあるため心拍数も上がったままになります。通常よりも遥かに早く、そして大量にスタミナを消耗してしまうため、レースの早い段階で体力を使い果たしてしまうのです。その結果、最後の直線では全く伸びを欠き、馬群に沈んでいくことになり、レース後の敗因として「折り合いを欠いた」とコメントされることが少なくありません。

競馬で「かかる」とはどういう意味?

競馬用語で「かかる」、あるいは「引っかかる」という言葉が使われますが、これは前述の「折り合いを欠く」状態とほぼ同じ意味合いで用いられる俗語的な表現です。

ただし、ニュアンスとしては「折り合いを欠く」よりもさらに激しく、馬が興奮して騎手の制御が効かずに暴走気味になってしまっている状態を指すことが多いです。馬がレースに対して前向きになりすぎたり、他の馬に過剰に反応したりして(例えば、他の馬に抜かれそうになってムキになるなど)、騎手の制御を振り切ってでも前に進もうとする状態です。

映像では、騎手が全体重をかけるようにして手綱を強く引き、馬を必死になだめようとしているにもかかわらず、馬がそれを振りほどこうとして頭を上げ下げする様子が見て取れます。まさに騎手と馬が「喧嘩している」状態です。この「かかる」状態がレースに与える悪影響は甚大です。馬自身のスタミナロスはもちろん、ペースを不必要に引き上げてしまい、レース全体の展開を壊してしまう原因にもなり得ます。

この「かかる」状態が極端に現れた歴史的な例として、2012年の阪神大賞典におけるオルフェーヴルが有名です。三冠馬である同馬は、レース中に激しくかかり、3コーナーで突然コースを外れて大きく逸走(コースアウト)しました。もはや勝負あったかと思われましたが、そこからレースに復帰し、信じられないほどの追い上げを見せて2着に入りました。これは、いかに「かかる」ことがレースにおいて致命的なロスになるか、そしてオルフェーヴルの能力がいかに規格外であったかを同時に示す、伝説的なレースとして語り継がれています。

競馬でハミを噛む行動との関係

レース中継やパドックで「馬がハミを噛んでいる」という表現を耳にすることがあります。これは、馬が口の中に入れられている馬具「ハミ(銜)」を、必要以上に強く噛みしめている状態を指します。

ハミは、騎手が持つ手綱と繋がっており、騎手の拳(こぶし)の微妙な動きを馬の口に伝え、「進め」「止まれ」「曲がれ」「ペースを落とせ」といった指示を伝達するための、車で言えばハンドルやブレーキのような非常に重要な道具です。馬がこのハミを強く噛みしめてしまうと、騎手からの繊細な指示が馬に伝わりにくくなります。騎手が手綱を引いても、馬がハミをガチガチに噛んで抵抗するため、制御が難しくなるのです。

馬がハミを噛む理由は様々ですが、多くの場合、レースに対する過度な興奮や、騎手の制御に対する反抗心からくる行動であると考えられています。つまり、馬がハミをガチガチに噛んでいる状態は、「かかっている」あるいは「かかり気味」であることのサインの一つとして見ることができます。

ただし、ハミを噛むこと自体が必ずしも悪いわけではありません。馬がリラックスし、騎手の指示を待っている状態で、軽くハミを口の中で転がすようにしている場合もあり、これは「ハミ受けが良い」状態(騎手の指示に従順な状態)とも取れます。見極めるべきは、力んでガチガチに噛んでいるのか、それともリラックスした中で軽く口に含んでいるのか、その違いです。パドックや返し馬で、口から泡を吹いている馬を見かけることがありますが、これもハミを噛んでいる結果生じる現象です。適度な泡はリラックスしている証拠とも言われますが、泡が多すぎる場合は過度に興奮している可能性があり、注意が必要と考えられます。

競馬の折り合いとは勝敗を左右する

折り合いの状態は、単なるレース中の見た目の問題ではなく、レースの勝敗に直結する極めて重要な要素です。ここでは、折り合いが悪い馬の具体的な特徴や、馬券予想の際にそれを見極める実践的な方法について、さらに深く掘り下げて解説します。

  • 競馬で折り合いが悪い馬の特徴
  • 競馬における折り合いの見方
  • 競馬で「かかる」馬の見分け方
  • 競馬で折り合いが必要な馬の気性
  • 競馬の折り合いとは予想の鍵

競馬で折り合いが悪い馬の特徴

競馬で「折り合いが悪い」あるいは「折り合いに不安がある」とされる馬には、いくつかの共通した特徴が見られることがあります。これらは主に「気性」「血統」「馬具」の3つの側面から判断することができます。

気性的な問題

最も大きな要因は、その馬が持って生まれた「気性」、つまり性格です。人間と同じように馬にも千差万別の個性があり、折り合いを欠きやすい特定の気性が存在します。

  • 闘争心が強すぎる馬: 勝利への意欲は不可欠ですが、それが過剰だと、他の馬が少しでも前に出たり、横に並んだりするだけでムキになってしまい、騎手の制御を振り切ってでも抜き返そうとします。
  • 興奮しやすい(イレ込みやすい)馬: 競馬場の雰囲気、大観衆の声援、あるいはレースそのものに対して過度に興奮してしまう馬です。パドックや返し馬の段階で既に冷静さを失っており、レース本番でリラックスして走ることが難しくなります。
  • 繊細すぎる馬: 非常にデリケートで、少しのことでパニックに陥りやすい馬もいます。例えば、レース中に他の馬に囲まれること(揉まれること)を極端に嫌がったり、前の馬が蹴り上げた砂や泥(キックバック)が顔に当たることを嫌がったりして、走るリズムを崩し、折り合いを欠いてしまいます。

血統的な傾向

気性は親から子へと遺伝する傾向が強いため、特定の血統(父馬)を持つ産駒(子供たち)は、全体として折り合いが難しいとされることがあります。これは競馬予想における重要なデータの一つです。

  • ステイゴールド産駒: オルフェーヴルやゴールドシップといった歴史的名馬を輩出した一方で、その産駒は総じて気性が激しく、折り合いが難しい(気性難)ことで有名でした。高い能力と表裏一体の危うさを持っていました。
  • ディープインパクト産駒: 日本近代競馬の結晶と称され、多くの活躍馬を出しましたが、その特徴である爆発的な瞬発力は、非常に前向きな気性の裏返しでもあります。そのため、産駒によっては騎手が制御するのに苦労するケースも多く見られ、いかにリラックスさせて末脚を溜められるか(折り合いを付けるか)が常に課題とされました。
  • 短距離血統の馬が長距離に出走する場合: 父や母が短距離で活躍していた馬は、スピード能力に優れる反面、気質も短距離走向き(=早く行きたがる)であることが多いです。そのような馬がスタミナの問われる中長距離レースに出走する場合、本能的に速く走りたがってしまい、折り合いを欠くリスクが高まります。

馬具による対策

調教師や厩舎スタッフは、気性的な課題を抱え、折り合いが悪い馬に対して、その弱点を矯正・補助するための特別な馬具を使用してレースに臨ませることがあります。出馬表でこれらの馬具の使用が記載されている場合、その馬が何らかの気性的な課題を抱えている可能性が高いと推測できます。

<div class=”scroll-box”> | 馬具の名称 | 主な役割と目的 | | :— | :— | | ブリンカー | 馬の目の横に装着する遮眼帯。後方や横の視界を遮断し、意識を前方に集中させる。他の馬を気にして集中できない馬や、逆に闘争心が強すぎてムキになる馬に使用される。 | | シャドーロール | 馬の鼻先に装着するボア状の馬具。馬自身の影や足元の芝などに驚いてしまう馬の視界を制限し、走りに集中させるために使用される。 | | 折り返し手綱 | 通常の手綱とは別に、ハミから腹帯(鞍を固定するベルト)へ通すもう一本の手綱。馬が過度に頭を上げるのを物理的に防ぎ、騎手の制御を補助する。近年では気性難で知られたメイケイエールが使用していました。 | | パシファイア | ブリンカーに似ているが、カップ部分が網目状になっている。視界を適度に遮りつつ、砂や泥が目に入るのを防ぐ効果もあるとされる。 | | メンコ(覆面) | 馬の顔(耳や目)を覆うマスク。音に敏感で興奮しやすい馬の耳を塞いだり、視界を一部制限したりすることで、馬をリラックスさせる効果を期待して使用される。 | </div>

これらの馬具を「今回から初めて装着する」あるいは「今回から外す」といった変更があった場合、陣営が馬の気性面で何らかの変化を試みているサインであり、予想上、特に注意が必要となります。

競馬における折り合いの見方

競馬の予想において、馬の折り合いの状態をレース前に見極めることは非常に大切です。そのための最大のチャンスが、レース直前の「パドック」と「返し馬」です。これらは馬の精神状態と騎手とのコンタクトを直接確認できる貴重な場となります。

パドックでの見方

パドックは、レース前に馬が厩務員に引かれて周回する場所です。ここでは馬の「気配」、特に精神状態を入念にチェックします。

  • 落ち着きとリズム: 最も重要なポイントです。周回のペースが速すぎず、遅すぎず、ゆったりとした一定のリズムで歩けているかが理想です。馬がリラックスしている証拠と言えます。
  • 発汗の状態: 馬も緊張や興奮をすると汗をかきます。特に首回りや股間、肩などに泡立つような汗(「着ゴロミ」と呼ばれることもあります)をかいている場合は、興奮状態にある可能性が高いです。ただし、夏の暑い日や、元々汗かきな体質の馬もいるため、発汗=悪い、と短絡的に判断はできません。全身がびっしょりと濡れるほどの異常な発汗は、明らかにエネルギーの無駄遣いであり、マイナス材料と考えてよいでしょう。
  • イレ込みのサイン: 明確な興奮状態を示すサインです。
    • 頭を激しく上下に振る。
    • 小走りになる(「チャカチャカする」と表現されます)。
    • その場で足踏みをする、あるいは立ち止まって動こうとしない。
    • 大声で何度も嘶(いなな)く。
    • 厩務員1人では制御できず、「二人引き」になっている(ただし、元々二人引きが通常運用の馬もいます)。

これらのサインが多く見られる馬は、レース本番でもエネルギーを消耗しやすく、折り合いを欠くリスクが高いと判断できます。

返し馬での見方

返し馬は、パドックから本馬場に入場した後、発走地点に向かう途中で軽くキャンター(駆け足)をすることです。これは、馬のウォーミングアップであると同時に、騎手が馬の当日の状態を確認し、コンタクトを取る重要な時間です。

  • 騎手とのコンタクト(制御): 騎手が軽く手綱を引いた(抑えた)ときに、馬が素直にスピードを緩め、反応しているかを見ます。騎手が必死に抑え込んでいるにもかかわらず、馬が頭を振って抵抗し、前に行きたがっている様子が見られる場合は、折り合いに大きな不安が残ります。
  • 走りのスムーズさとリズム: 馬が力むことなく、リズミカルでスムーズなキャンターができているかがポイントです。力んで頭を高く上げすぎている馬は、リラックスできておらず、スタミナを消耗しやすい走り方になっています。
  • 騎乗スタイルとの相性: 騎手によって馬のなだめ方、折り合いの付け方にはスタイルがあります。例えば、武豊騎手は手綱を比較的長めに持ち、馬の行きたい気持ちを尊重しながらリズム良く走らせることで折り合いを付けるタイプとして知られています。一方で、手綱を短く持ち、馬をしっかりと制御下に置こうとする騎手もいます。どちらが良いというわけではなく、その馬の気性と騎手のスタイルが合っているかどうかも、見極めるための一つの視点となります。

競馬で「かかる」馬の見分け方

前述の通り、「かかる」馬(=激しく折り合いを欠く馬)を見分けるには、パドックと返し馬での挙動を注意深く観察することが最も有効な手段です。

パドックでの観察ポイントは、既に述べた「イレ込み」のサインです。特に、落ち着きがなく常に二人引きが必要であったり、周回中に何度も立ち止まろうとしたり、逆に小走りになったりを繰り返している馬は、危険な兆候と捉えるべきです。

最も重要なのは、返し馬での様子です。以下の点は、レース本番でも「かかる」可能性が非常に高いことを示唆しています。

  1. 騎手が抑えきれない: 騎手が手綱を強く引き、体重を後ろにかけて馬を制御しようとしているにもかかわらず、馬が首を激しく上下に振って抵抗し、どんどんスピードを上げてしまう。
  2. 他の馬への過剰反応: 返し馬は通常、複数の馬が同時に行います。他の馬が近くに来たり、追い抜いていったりした際に、その馬に対して過剰にムキになり、競り合おうとしてしまう馬は、レース本番の密集した馬群の中でも同様の反応を示す可能性が高いです。

また、これらの直接的な観察以外にも、以下のような間接的な情報も「かかる」リスクを判断する材料となります。

  • レース経験の浅い若駒: デビューしたばかりの2歳戦や3歳春のレースでは、馬がまだ競馬を理解しておらず、興奮しやすいため、かかりやすい傾向があります。
  • 久しぶりのレース(休み明け): 数ヶ月ぶりに実戦に戻ってきた馬は、レースに対する意欲が強すぎたり、環境の変化に戸惑ったりして、興奮状態に陥りやすいです(これを「テンションが高い」と表現します)。
  • 距離延長のローテーション: 前走が1600mで、今回が2000mのように、レース距離が伸びる場合、馬が前走の短い距離のペースを覚えてしまっていて、序盤から速く走りたがり、折り合いを欠くケースがあります。

競馬で折り合いが必要な馬の気性

原則として、どのような距離、どのような馬であっても、スタミナを温存するために折り合いは必要です。しかし、その中でも特に「折り合いがつくかどうか」がレース結果を左右する、重要度の高い馬が存在します。それは、気性が極端に「前向きすぎる馬」と「繊細すぎる馬」です。

前向きすぎる馬

これは闘争心や競争本能が非常に強いタイプです。ゲートが開いた瞬間に、まるで短距離走のように全力で走ろうとしてしまい、騎手がなだめるのに大変苦労します。特に、レース展開がスローペース(全体の流れが遅い)になると予想される場合、このタイプの馬は「遅すぎる」と感じて我慢ができなくなり、騎手の指示に反して先頭に立とうとして「かかる」リスクが格段に高まります。

繊細すぎる馬

これは臆病であったり、デリケートであったりするタイプです。

  • 馬群(揉まれること)を嫌う馬: レース中に他の馬に前後左右を囲まれる(「馬群に入る」「揉まれる」と言います)と、極度のストレスを感じてパニックになり、走る気をなくしてしまう(戦意喪失)か、あるいは逆に、その状況から逃れようと無理に外に出そうとして力み、折り合いを欠いてしまいます。
  • キックバックを嫌う馬: ダート(砂)のレースや、雨で濡れた芝のレースでは、前の馬が蹴り上げた砂や泥(キックバック)が顔に直撃します。これを極端に嫌がる馬は、顔を背けたり、スピードを緩めたりしてしまい、全く力を出し切れないまま終わることがあります。

これらの特性を持つ馬を予想する際は、過去のレースVTRをチェックし、「馬群の中で我慢できていたか」「砂や泥を被っても走り続けていたか」を確認することが不可欠です。

また、前述の通り、「距離延長」のローテーションでレースに臨む馬や、メンバー構成上「明確な逃げ馬がおらずスローペースが予想される」レースでは、多くの馬が行きたがりやすくなるため、騎手がいかに馬をなだめ、折り合いを付けられるかが、馬券の的中を左右する大きな鍵となります。

競馬の折り合いとは予想の鍵

この記事では、競馬の予想に不可欠な「折り合い」について、その基本的な意味から、レースにおける重要性、そしてパドックや返し馬での実践的な見分け方までを詳しく解説しました。

「折り合い」とは、単なる競馬用語の一つではなく、馬の能力を100%引き出すための、騎手と馬との最も重要なコミュニケーションそのものです。この概念を理解することが、競馬予想の精度を格段に向上させることに繋がります。

最後に、本記事で解説した重要なポイントをまとめます。

  • 競馬の「折り合い」とは騎手と馬の呼吸が合い、リラックスして走れている状態
  • 折り合いを付ける最大の目的はスタミナを温存し、最後の末脚(スパート)に備えるため
  • 特に3000mを超えるような長距離レースでは、折り合いが勝敗を決定づける
  • 「折り合いを欠く」とは馬が興奮し、騎手の制御に従わずに行きたがっている状態
  • 「かかる」や「引っかかる」も「折り合いを欠く」とほぼ同義で、より激しい状態を指す
  • 折り合いを欠くとスタミナを序盤で無駄遣いし、最後の直線で失速(バテる)する
  • 「ハミを噛む」行動は、馬が興奮している、あるいは騎手に反抗しているサインの一つ
  • 気性が前向きすぎる馬や、逆に繊細すぎる馬は、折り合いが難しい傾向がある
  • ステイゴールド産駒やディープインパクト産駒などは、血統的に折り合いが注目されることがある
  • 伝説の三冠馬オルフェーヴルの阪神大賞典での逸走は、折り合いを欠いた(かかった)極端な例
  • パドックでの「イレ込み」(チャカチャカする)や「過度な発汗」は興奮のサイン
  • 返し馬で騎手が抑えきれない様子や、頭を激しく振る仕草は「かかる」兆候
  • ブリンカーや折り返し手綱などの矯正馬具は、気性的な課題への対策を示唆している
  • 予想の際は、馬具の「新規装着」や「取り外し」といった変更点に注意する
  • 距離延長のローテーションで出走する馬は、折り合いがつくかどうかが重要な予想ポイント
  • 逃げ馬不在でスローペースが予想される展開でも、多くの馬がかかりやすくなるため注意が必要
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