イギリスは近代競馬の発祥地であり、多くのファンにとって憧れの地でもあります。競馬の発祥地であるイギリスへ行ってみたいと考えているなら、現地の文化やルールを深く理解しておくことが大切です。イギリス競馬の特徴である自然の地形を活かしたタフなコース設定や、階級社会の伝統を色濃く反映したイギリス競馬のドレスコード、そして一年を通じて開催される過酷かつ華やかなイギリス競馬の日程など、渡航前に知っておくべき情報は多岐にわたります。また、格式高いイギリス競馬の最高峰レースを現地で観戦するなら、数百年に及ぶ歴史ある競馬とイギリス貴族の深い関わりについても学んでおくと、より感慨深い体験ができるはずです。さらに、ロイヤルアスコットのような世界的に注目されるイギリス競馬のG1競走を心ゆくまで楽しむためには、チケットの手配だけでなく、ブックメーカーで日常的に使われる競馬に関するイギリス英語や、平地や障害といった独特なイギリスの競馬レースの種類についても知識を深めておく必要があります。この記事では、これらすべての要素を網羅的に解説します。
- イギリス競馬における平地競走と障害競走の違いや特徴
- 観戦時に知っておくべきドレスコードや特有の専門用語
- 2025年の主要な開催日程と注目すべきビッグレースの詳細
- 日本馬がイギリスの馬場で苦戦する理由と環境の違い
伝統ある競馬をイギリスで楽しむ基礎知識
- 歴史が育んだ競馬とイギリス貴族の関係
- 日本と異なるイギリス競馬の特徴を解説
- 階級を示すイギリス競馬のドレスコード
- 観戦に必須の競馬に関するイギリス英語
- 障害や平地などイギリスの競馬レース

歴史が育んだ競馬とイギリス貴族の関係
イギリスにおける競馬は、単なるスポーツ興行の枠を超え、王室や貴族社会と密接に結びついた文化的な制度として確立されています。「王たちのスポーツ」という言葉が示す通り、その起源は王室の歴史そのものです。17世紀初頭、ジェームズ1世がニューマーケットの地を狩猟と馬の疾走に適した場所として見出し、宮殿を建設したことが現代競馬の発展の契機となりました。その後、チャールズ2世は自ら騎手としてレースに参加し、ニューマーケットを社交の場へと変貌させました。
18世紀に入ると、アン女王がウィンザー城近くの荒野にアスコット競馬場を開設し、これが現在のロイヤルアスコット開催へと繋がっています。こうした王室の庇護の下、東方から輸入されたアラブ種やトルコ種の種牡馬とイギリスの在来牝馬が交配され、速さとスタミナを兼ね備えたサラブレッドという品種が誕生しました。現代のサラブレッドの父系は、バイアリーターク、ダーレーアラビアン、ゴドルフィンアラビアンという3頭の始祖に遡ります。
1750年には、競馬を愛好する貴族たちによってジョッキークラブが結成されました。当初は社交クラブとしての性格が強かったものの、次第にルールの制定や血統管理を行う統括機関としての役割を担うようになりました。ジョッキークラブによる統治は、競馬を洗練されたスポーツへと昇華させる一方で、アマチュア精神を重んじる「ジェントルマン」の階級意識を色濃く残す結果となりました。現在でもイギリス競馬の根底には、こうした貴族文化と伝統が息づいています。
日本と異なるイギリス競馬の特徴を解説
イギリスの競馬は、日本の中央競馬と比較すると、競技の構造から文化に至るまで根本的に異なるシステムで運営されています。そのため、日本の競馬常識をそのまま当てはめて考えると、現地のレース展開や結果を理解するのが難しい場面に遭遇するかもしれません。イギリス競馬を深く楽しむためには、まず「平地と障害の明確な区分」「レーティングによるクラス分け」「自然の地形を活かした馬場」という3つの大きな違いを把握しておくことが大切です。
まず一つ目の大きな特徴は、平地競走(フラット)と障害競走(ナショナルハント)という2つの競技体系(コード)が、それぞれ独立したシーズンとファン層を持っている点です。日本では年間を通じて平地と障害が混在して開催されますが、イギリスでは明確に分かれています。平地競走は主に3月下旬から11月上旬にかけて行われ、スピードとスタミナを競うことで優秀な種牡馬や繁殖牝馬を選定することを最大の目的としています。そのため、トップホースは3歳や4歳といった若さで引退し、繁殖入りすることが一般的です。また、スタートには日本同様に発馬機(ゲート)が使用されます。
一方、冬場を中心に行われる障害競走は、まったく異なる性格を持っています。出走馬の多くは去勢されたセン馬であるため、繁殖入りの必要がなく、10歳を超えても現役を続けることが珍しくありません。ファンは長年にわたって同じ馬を応援し続けることができ、大衆的な人気は平地競走を凌ぐほどです。スタート方式もゲートを使わず、ゴム紐を用いたスタンディングスタートで行われるなど、競技の進行自体にも違いが見られます。このように、季節によって主役となる競技が完全に入れ替わるのがイギリス競馬のサイクルです。
二つ目の違いは、レースのクラス分けにおける基準です。日本では獲得した賞金額によって「1勝クラス」「2勝クラス」といった形で階層が決まりますが、イギリスでは公式ハンデキャッパーが付与する「レーティング(能力評価値)」が絶対的な基準となります。これは、各馬の実力を数値化し、その差を斤量(負担重量)で調整することで、全馬が理論上同時にゴールできるように設計されたハンデキャップシステムを運用するためです。
このシステムには、観戦においてメリットと注意点の両面があります。メリットは、実力が拮抗した大接戦になりやすく、ブックメーカーでの賭けが非常に盛り上がる点です。一方で、勝っていない馬であっても、レース内容が良ければレーティングが上がり、強制的に上のクラスへ昇級させられるという厳しさがあります。日本では「勝たなければクラスが上がらない」ため、あえて勝ちを遅らせる戦略も取り得ますが、イギリスでは好走し続ける限り、未勝利のままでも重い斤量を背負わされ続けるケースがあるのです。したがって、馬券検討の際は、単なる着順だけでなく、背負っている斤量とレーティングの変動を注視する必要があります。
三つ目の特徴として挙げられるのが、競馬場の形状と環境です。日本の競馬場は、均質化された楕円形のトラックコースが基本であり、平坦でタイムが出やすいように整備されています。これに対し、イギリスの競馬場は自然の地形をそのまま利用して作られているため、コースの形状は不規則で多種多様です。例えば、とてつもない急坂を登り降りするコースや、一度もコーナーを回らない直線だけのコース、さらには三角形やおにぎり型のような歪な形状をしたコースも存在します。
こうした環境では、単に速いタイムで走れる能力だけでは勝てません。急坂を駆け上がるパワー、下り坂でバランスを保つ器用さ、そしてタフな粘土質の馬場をこなす適性が求められます。ある競馬場では無類の強さを発揮する馬が、別の競馬場ではまったく走らないという「コース適性(Horses for courses)」が極端に出るのもこのためです。日本馬がイギリス遠征で苦戦する要因の多くもここにあり、現地で観戦する際は、その競馬場がどのような特性を持っているかを知ることが、レース予想の鍵となります。

階級を示すイギリス競馬のドレスコード
イギリスの競馬場において、服装は単なるマナー以上の意味を持ちます。それは、自分がどのエンクロージャー(エリア)に属しているかを示す身分証明書のような役割を果たしているからです。特に王室主催のロイヤルアスコット開催では、世界で最も厳格なドレスコードが適用されることで知られています。最上級のロイヤル・エンクロージャーでは、男性はモーニングコートとトップハット(シルクハット)の着用が必須であり、女性はフォーマルなデイドレスと帽子の着用が義務付けられています。
一方で、開催時期や場所によって求められるスタイルは変化します。例えば、夏のエプソム・ダービーでは、モーニングコートやスーツスタイルが主流ですが、冬の障害競馬の祭典であるチェルトナム・フェスティバルでは雰囲気が一変します。カントリーサイドの貴族文化が色濃いチェルトナムでは、寒さと泥に対応できるツイードのジャケットやコート、そして丈夫なレザーブーツを身につけるのが一種のステータスとなっており、「ツイード」が非公式のユニフォームのように愛されています。
北部のヨーク競馬場などでは、結婚式の参列者のような華やかな装いが好まれるなど、地域による特色もあります。しかし、どの競馬場でも共通しているのは、ジーンズやスポーツウェアなどのカジュアルすぎる服装は、特定のエリアでは入場を断られる可能性があるという点です。事前に公式情報を確認し、その場の雰囲気に合わせた装いを楽しむことが大切です。
観戦に必須の競馬に関するイギリス英語
現地の競馬場には、独特の賭け文化と専門用語が存在します。イギリスでは、日本のような主催者が馬券を販売して配当を分配するトート(Tote)方式だけでなく、公認の賭け屋であるブックメーカーが独自のオッズを提示する方式が一般的です。ベッティングリングと呼ばれるエリアには多数のブックメーカーが立ち並び、観客はより有利なオッズを求めて歩き回ります。
賭けの種類も多彩です。例えば、「Each-Way(イーチウェイ)」は、単勝と複勝に同額を賭ける方法で、人気薄の馬を狙う際によく利用されます。また、レースの数日前から数ヶ月前に賭ける「Ante-Post(アンティポスト)」は高いオッズが魅力ですが、出走しなかった場合に賭け金が没収されるリスクも伴います。さらに、有力馬が出走を取り消した際にオッズを調整する「Rule 4」や、かつてブックメーカー同士が手信号で情報を交換していた「Tic-Tac」など、知っておくと観戦がより楽しくなる用語が数多くあります。
| 用語 | 意味と解説 |
| Each-Way | 単勝と複勝に同額を賭ける方式。穴狙いに有効。 |
| Ante-Post | 前売り馬券。オッズは高いが、出走取消時のリスクがある。 |
| Placepot | 第1〜第6レースですべて複勝を当てる賭け。少額で高配当が狙える。 |
| Going | 馬場状態。Firm(良)、Soft(重)などで表現される。 |
| Furlong | 距離の単位。1ハロンは約201メートル。 |
障害や平地などイギリスの競馬レース
イギリスで行われるレースは、大きく分けて平地競走と障害競走の2つに分類されますが、その中にもさらに細かい種類があります。平地競走では、能力検定の最高峰であるパターンレース(G1、G2、G3、リステッド)に加え、全レースの大半を占めるハンデキャップ競走が行われます。未勝利馬のためのメイデンや、レース後に馬が売買されるセリングレースなども存在し、馬の能力やキャリアに応じた多様な番組が組まれています。
一方、障害競走には主に3つのカテゴリーがあります。「ハードル」は、比較的低い柔軟な障害物を飛越するレースで、若馬やスピードのある馬が出走します。「チェイス(スティープルチェイス)」は、より高く堅固な固定障害を飛越するレースで、高い飛越技術と勇敢さが求められます。そして「バンパー」と呼ばれる平地競走は、障害馬としてのデビューを控えた馬がレース経験を積むために行われます。
日本では障害レースの数が限られていますが、イギリスでは冬の主要なエンターテインメントとして定着しています。特にチェイスの最高峰であるグランドナショナルは、約6.9キロメートルという長距離と巨大な障害で知られ、国民的な行事として親しまれています。このように、季節や馬の適性に合わせて多種多様なレースが展開されるのがイギリス競馬の魅力です。
2025年の競馬はイギリス現地で観戦
- 2025年版イギリス競馬の日程ガイド
- 伝統を誇るイギリス競馬の最高峰レース
- 注目のイギリス競馬のG1競走一覧
- 過酷な馬場など競馬とイギリスの環境
- 本場の競馬をイギリスで体験する魅力

2025年版イギリス競馬の日程ガイド
2025年のイギリス競馬は、1月から4月にかけての障害シーズン、そして5月から秋にかけての平地シーズンと、一年を通じて見どころが満載です。まず、1月から春先にかけてはナショナルハント(障害競走)がクライマックスを迎えます。特に3月中旬に開催されるチェルトナム・フェスティバルは、障害競馬のオリンピックとも称され、4日間で数多くのG1レースが行われます。続く4月上旬には、エイントリー競馬場で世界的に有名なグランドナショナルが開催されます。
平地シーズンは5月のニューマーケット開催で本格化します。ここではクラシック競走の開幕戦である2000ギニーと1000ギニーが行われます。6月に入ると、エプソム競馬場でダービーとオークスが開催され、その興奮が冷めやらぬうちに王室主催のロイヤルアスコットが華やかに執り行われます。夏にはグッドウッドやヨークでのフェスティバルが続き、秋にはドンカスターでのセントレジャーや、アスコットでのチャンピオンズデーでシーズンのフィナーレを飾ります。
| 時期 | 開催地 | 主なイベント・レース |
| 3月11-14日 | チェルトナム | チェルトナム・フェスティバル (障害最高峰の祭典) |
| 4月3-5日 | エイントリー | グランドナショナル・フェスティバル |
| 5月3-4日 | ニューマーケット | ギニー・フェスティバル (2000ギニー/1000ギニー) |
| 6月6-7日 | エプソム | ダービー・フェスティバル (ダービー/オークス) |
| 6月17-21日 | アスコット | ロイヤルアスコット (王室主催開催) |
| 7月26日 | アスコット | キングジョージ6世&クイーンエリザベスS |
| 10月18日 | アスコット | ブリティッシュ・チャンピオンズデー |

伝統を誇るイギリス競馬の最高峰レース
数あるレースの中でも、別格の扱いを受けるのが「クラシック競走」です。これらは3歳馬限定のレースとして18世紀から19世紀にかけて確立され、現代競馬の基礎となっています。特にエプソム競馬場で行われる「ダービー」は、すべてのホースマンが憧れる最高の栄誉とされており、「ターフのブルーリボン」と称されます。1マイル半(約2400m)の距離で争われるこのレースは、スピード、スタミナ、そして精神力のすべてが問われる究極の舞台です。
また、古馬と3歳馬が激突する夏の最高峰として「キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス」も極めて重要です。アスコット競馬場で行われるこのレースは、欧州の上半期最強馬決定戦としての意味合いを持ちます。障害競走においては、「チェルトナムゴールドカップ」と「グランドナショナル」が双璧をなします。前者は実力重視の定量戦として最強の障害馬を決め、後者はハンデ戦でありながらその過酷さとドラマ性で国民的な人気を誇ります。
これらのレースは、単に賞金が高いだけでなく、長い歴史の中で積み重ねられてきた物語や権威が、他のレースとは一線を画す価値を生み出しています。現地で観戦する際は、そのレースが持つ背景や歴代の勝者に思いを馳せることで、感動がより深まるはずです。
注目のイギリス競馬のG1競走一覧
2025年のイギリス競馬シーズンにおいても、サラブレッドの能力を極限まで試すG1競走が数多く組まれています。これらのレースは単に賞金が高いだけでなく、距離やカテゴリーごとに明確なチャンピオンを選定する役割を担っています。現地で観戦する際や馬券を検討する際には、それぞれのレースが持つ「性格」や「求められる適性」を理解しておくことが、楽しみを深める鍵となります。ここでは、主要なカテゴリーごとに注目のG1レースを詳しく解説します。
まず、スピードの絶対値が問われる短距離(スプリント)路線です。6月のロイヤルアスコット開催では、5ハロン(約1000m)で行われる「キングチャールズ3世ステークス」と、6ハロン(約1200m)の「クイーンエリザベス2世ジュビリーステークス」がハイライトとなります。前者はスタートからゴールまで息つく暇もない純粋なスピード勝負であり、後者はそれに加えて最後の坂を登り切る底力が試されます。
また、7月にニューマーケット競馬場で行われる「ジュライカップ」も見逃せません。このレースは、夏の厳しい暑さの中で行われるため「真夏の最強スプリンター決定戦」とも呼ばれ、3歳馬と古馬が初めて本格的に激突する舞台でもあります。ニューマーケットの「ジュライコース」は起伏が激しく、単調な一本調子の逃げ馬では勝ち切るのが難しいため、真の実力が問われるタフなレースとして知られています。
次に、競馬の花形である中長距離路線を見てみましょう。前述の通り、前半戦の頂点はダービーやキングジョージですが、後半戦にも世界最高レベルの戦いが待っています。特に8月のヨーク競馬場で行われる「インターナショナルステークス」は要注目です。ヨーク競馬場はイギリスには珍しく平坦で広いコース形状をしており、クセが少ないため、各馬が能力を遺憾なく発揮できます。そのため、近年では世界ランキング1位を決定するようなハイレベルなレースになることが多く、日本のような高速馬場に慣れた馬にとっても走りやすい舞台と言えます。
一方で、シーズンの締めくくりとなる10月のアスコット開催「チャンピオンステークス」には注意が必要です。この時期のイギリスは雨が多く、馬場状態が「Soft(重)」や「Heavy(不良)」になることが珍しくありません。どれだけ能力が高くても、道悪(みちワル)への適性がなければ大敗するリスクがあるため、予想の際は当日の天候と馬場状態の確認が不可欠です。
長距離(ステイヤー)路線の頂点に君臨するのは、ロイヤルアスコットの「ゴールドカップ」です。現代競馬では稀少となった2マイル半(約4000m)という長大な距離で争われ、スピード偏重の時代にあっても、尽きることのないスタミナと精神力を称える伝統が守られています。
さらに、牝馬限定のG1競走も重要な意味を持ちます。5月の「1000ギニー」や6月の「オークス」といったクラシック競走に加え、8月の「ヨークシャーオークス」や10月の「ブリティッシュ・チャンピオンズ・フィリーズ&メアズステークス」などが挙げられます。これらのレースは、競走馬としての名誉だけでなく、引退後の繁殖牝馬としての価値を決定づける重要な選定の場です。日本からも、将来の牧場の基礎を築くために、これらのタイトルを狙って遠征するケースが増えており、日本のファンにとっても応援に熱が入るカテゴリーと言えるでしょう。
以下に、カテゴリー別の主要なG1レースとその特徴を整理しました。
| カテゴリー | レース名 | 開催時期 | 開催地 | 特徴と見どころ |
| 短距離 | キングチャールズ3世S | 6月 | アスコット | 5ハロンの電撃戦。純粋なスピード勝負。 |
| ジュライカップ | 7月 | ニューマーケット | 欧州スプリント界の最高峰。タフなコース設定。 | |
| 中距離 | インターナショナルS | 8月 | ヨーク | 平坦コースで実力通り決まりやすい。世界最高ランクの戦い。 |
| チャンピオンS | 10月 | アスコット | 秋の総決算。重馬場になりやすく波乱の要素も含む。 | |
| 長距離 | ゴールドカップ | 6月 | アスコット | 4000m超の究極のスタミナ勝負。王室開催の象徴。 |
| 牝馬限定 | ヨークシャーオークス | 8月 | ヨーク | 秋の大レースや繁殖価値を見据えた重要な一戦。 |

過酷な馬場など競馬とイギリスの環境
日本馬がイギリス遠征を行う際、しばしば「馬場の壁」に直面します。これは、両国のコース環境に決定的な違いがあるためです。日本の競馬場は、排水性を高めるための砂の層やクッション性の高い路盤の上に芝が敷かれており、平坦で高速タイムが出やすい傾向にあります。対照的に、イギリスの馬場は自然の土壌の上に野芝が生えており、粘土質の土は雨を含むと非常に重くなります。加えて草丈も長く、馬にはパワーとグリップ力が求められます。
さらに、地形の起伏も日本とは比較になりません。例えば、ダービーが行われるエプソム競馬場は、スタート直後から急勾配を登り、その後急激に下りながらカーブを曲がり、最後の直線は再び登り坂になるという、ジェットコースターのようなコースです。ニューマーケット競馬場にも「The Dip」と呼ばれる窪みがあり、バランスを崩さずに走り切るには高度な技術が必要です。
このような環境の違いは、求められる調教や馬のタイプにも影響を与えます。イギリスでは広大な丘陵地帯を利用した坂路調教が主体であり、心肺機能とスタミナが重点的に鍛えられます。一方、日本では平坦なトラックやウッドチップコースでのスピード調教が中心です。そのため、日本の高速馬場で強さを発揮する馬でも、イギリスのタフな馬場や激しいアップダウンに対応しきれず、本来の力を出せないケースが少なくありません。
本場の競馬をイギリスで体験する魅力
本場の競馬を現地イギリスで体験することは、単なるスポーツ観戦を超えた文化的な探求の旅となります。2025年の開催に向けて、ここまで解説してきた歴史背景、ドレスコード、専門用語、そしてレースの特性を理解していれば、その感動は何倍にも膨れ上がるでしょう。イギリス競馬は、伝統を守りながらも常に進化を続けており、訪れるたびに新しい発見がある場所です。
- 競馬はイギリスにおいて王室や貴族と深く結びついた歴史的文化財である
- 平地競走と障害競走という明確に異なる2つのシーズンが存在する
- ドレスコードは階級やエリアを示す重要なIDカードの役割を果たす
- ロイヤルアスコットでは男性はトップハット、女性は帽子の着用が必須
- ブックメーカーや独特の賭け用語を知ることで観戦の楽しみが広がる
- 2025年も3月のチェルトナムや6月のロイヤルアスコットなど主要開催が目白押し
- ダービーはエプソム競馬場の難コースで行われる最高峰のレースである
- 日本とは異なり、自然の地形を活かした起伏の激しいコースが特徴
- 馬場は粘土質で重く、日本馬にとっては適応が難しい場合が多い
- 障害競馬は冬の風物詩であり、グランドナショナルは国民的行事である
- クラス分けは賞金ではなくレーティングによって厳格に管理されている
- 観戦時はエリアごとのルールやマナーを事前に確認することが大切
- 現地の雰囲気や伝統的な衣装も含めて楽しむのがイギリス流のスタイル
- 歴史あるスタンドやパドックでサラブレッドを間近に見る体験は格別
- 事前の知識があれば、レースの背景にある物語をより深く味わえる
